復興の現場をくりかえし訪れ学ぶフィールドワーク

地域実践学習「むらの大学Ⅰ・Ⅱ(1年生)

 原発事故により避難を余儀なくされ、復興と地域再生に取り組む地域(双葉郡川内村・南相馬市小高区・双葉郡大熊町・相馬郡飯舘村)にくりかえし訪れ、地域住民の方々との交流・調査活動(フィールドワーク)を行い、地域の問題解決に向けた活動からの学び(サービス・ラーニング)を行う授業です。
学生たちは、4月のガイダンスから1月の現地報告会まで、年間を通じて学びを深めます。

主な活動(実績)

『学生が聞いた』川内・小高・大熊 2024ダイジェスト版の制作(※詳しくはこちら)

「むらの大学」での学びを生かした実践

自主学修プログラム(2・3・4年生)

 1年次に「むらの大学」を履修した学生の多くは、2年次以降に「自主学修プログラム」として(双葉郡川内村・南相馬市小高区・双葉郡大熊町・相馬郡飯舘村を主とする)地域での活動を継続します。
 自主学修プログラムでは多くの学生たちが、1年次に発見した地域の魅力や課題について「自分たちに何ができるのか」を考えます。そのうえで学生主体でグループを組織し、「テーマ」「活動内容」を設定。教員の指導のもと、自主的なプロジェクトの活動を継続して行います。

主な活動(実績)
  • 祭礼や各種大会・イベントの支援活動と、アンケート実施による来村者の分析
  • 自然環境調査を通じた、川内村の新たな魅力を発見する活動
  • 若年女性人口に注目し、「小高で働く女性」へのインタビュー小冊子の発行
  • いなかでの暮らし、関わりを始めたい人へ繋ぐ川内村の「injanai?」インタビュー冊子の発行    

  など他

学類を超えたプロジェクト学修

「協働プロジェクト学修」(2・3・4年生、大学院生)

 文系・理系の5つの学類が、一つのキャンパスで学ぶ福島大学。その特性を活かし、浜通り地域をフィールドとして学年・学類を超え、「協働プロジェクト学修」を実施しています。
 各学類の学生が専門性をもってプロジェクトの遂行にあたる、「活動を通じた学び(サービス・ラーニング)」により、専門性や地域問題の解決能力、他の専門性を有するメンバーとの協働力・学際性などを有する、高度な復興人材を育成します。

主な活動(実績)
  • 農村地域居住における若者の選好の調査分析(相馬郡飯舘村)
  • 除染後農地の肥沃度低下調査と回復を考える(相馬郡飯舘村)
  • 南相馬市の特産物の高付加価値化を考える(南相馬市)
  • 農スポ@南相馬(南相馬市)
  • 大熊町の営農再開に向けて考える(双葉郡大熊町)
  • 福島大学生に伝わる除染土処分の紹介を考える(双葉郡大熊町)
  • 避難を経験した地域の教育環境を考える(大熊町、川内村)         

  など他

 

福島型サービス・ラーニングの開発と発信

 むらの大学・自主学修プログラム・協動プロジェクト学修など、復興や地域再生に貢献する活動を通して学ぶ「福島型サービス・ラーニング」の実践と学修効果検証を行い、国内外の高等教育機関における教育実践に応用できるよう発信を行います。

「復興知」のデータベース化と国内外への発信

 福島大学には、多彩な視点で福島の「いま」と「これから」を学ぶ「ふくしま未来学入門Ⅰ・Ⅱ」など、震災・原発事故と復興に関わる多彩な座学講座があります。 こうした蓄積を基盤に、「復興知」に関する授業資料・動画をデータベース化とアーカイブ化を行い、一部を学外公開するとともに海外への積極的な発信も行います。

【文理を超えたオムニバスで知る復興の最前線】

講義「ふくしま未来学入門Ⅰ」(全学年)

 地域とともに歩む総合大学の特性を活かした、全5学類の教員によるオムニバス講義。人類が初めて経験する福島の諸課題に、それぞれの学問分野でどのような取り組みがなされ、学問知が実践知としてどう活用されているかを学びます。

【地域で活躍するゲスト講師陣と考える課題解決】

講義「ふくしま未来学入門Ⅱ」(全学年)

 復興の現場で活躍しておられる多彩なゲスト講師をお招きし、地域で実際に行われている取り組みについて具体的に学ぶ講義。多彩なテーマ・視点を通して地域再生の歩みの一端に触れることで、課題解決型の思考を養います。

地域を学ぶ、授業外のスタディツアー「みらいバス」(全学年)

 地域と大学をつなぐスタディーツアー「みらいバス」は、学生・教職員を対象とし、地域へ訪問し学修する機会として年間10回程度企画・実施しています。被災地域の訪問・見学やボランティア活動などを通じ、それぞれの地域の現状を学びます。なかにはJICAや大熊未来塾など、さまざまなコラボ企画も実施しています。
 学生たちは「みらいバス」からの学びで、福島の被災地に留まらず、全国・全世界の災害・紛争などの問題に、今なにが必要かの「問い」に対し視野を広げることに繋げています。

主な行き先(実績)
  • 東日本大震災・原子力災害伝承館(双葉郡双葉町)
  • 震災遺構請戸小学校(双葉郡浪江町)
  • 宝鏡寺 伝言館(楢葉町)
  • 中間貯蔵施設、帰還困難区域等(双葉郡大熊町)    

  など他

浜通りの高校との連携

 「むらの大学」「自主学修プログラム」「協働プロジェクト学修」における連携事業や、探求学習に関わる指導などを中心に、浜通り地域の高等学校とさらなる連携を図ります。

主な活動(実績)
  • 大学がない地域での学生によるメンタープログラム実施(南相馬市)    

  など他